ビタミンAとビタミンD

ビタミンのはなし 

ビタミンA

ビタミンAは、水には溶けにくく油脂に溶けやすい脂溶性ビタミンのひとつです。ビタミンAはレチノイドといい、構造によりレチノール、レチナール、レチノイン酸の3種類に分類されます。レチノールは主に暗いところでも目が慣れて見えるようになるような、目で光を感じる仕組みに関係しています。他にもビタミンAは肌の健康を維持したり、発育を促進したり、のどや鼻などの粘膜に働いて細菌から体を守るなどの重要な役割を持っています。また、ビタミンAは重度のにきびや乾癬の治療に薬として用いられることもあります。

ビタミンAの働きと不足したら

働き

視機能を改善する

不足すると

乳幼児では目が異常に乾燥して角膜乾燥症を起こし、失明することもある

夜間にものが見えにくくなる(鳥目)

暗順応遅延、視力低下等

粘膜や皮膚を健康に保つ

皮膚や粘膜が乾燥し角質化、イボやウオノメができやすくなる

皮膚や毛髪の潤いがなくなる

発育の促進 骨や歯の発育不全など

のどや鼻などの粘膜を保護する 細菌やウイルスに対する抵抗力が弱まって感染症にかかりやすくなる

ビタミンAが欠乏すると

ビタミンAは体内では合成できないため、食品から摂取する必要があります。体内でビタミンAが不足すると緑黄色野菜などに多く含まれるβ-カロチンが必要な量だけビタミンAに変換されるため、基本的には普段の食生活で不足することは少ないのですが、偏った食生活や、ダイエットや食欲低下などでビタミンAの摂取量が減ると、様々な症状が出てきます。以下の項目をチェックし、該当する項目があれば、もしかしたらビタミンA不足かもしれません。例えば、暗いところで目が見えなくなる夜盲症(鳥目)と呼ばれる欠乏症があります。現在の日本ではほとんどみられませんが、栄養状態がよくない発展途上国においては、子どもたちが失明する重大な原因にもなっています。

次にあてはまる場合、ビタミンAが不足しているかもしれません。

☐暗くなると見にくくなる(鳥目)

☐明るい所から暗い所に行くと目が慣れるまで時間がかかる

しわが気になる

☐肌が乾燥したり、ガサガサする

☐ドライアイ(目の乾燥)が気になる

☐ニキビや吹き出物ができやすい

☐アトピー性皮膚炎が気になる

☐鼻の中が乾燥する

☐風邪をひきやすい 皮膚が乾燥しやすい

ビタミンAは酸化されやすい物質で、摂取しても体内で酸化されると活性を失ってしまいます。そこで、ビタミンAの酸化を防ぎ、しっかり効果を発揮させるために、ビタミンCやビタミンEを一緒に摂ることをおすすめします。ビタミンCやビタミンEは自らが酸化されることで、ビタミンAを酸化から守る抗酸化作用があるためです。

ビタミンA摂取時の注意

ビタミンAは脂溶性のため、必要以上に摂取しても水溶性ビタミンのように尿に溶けて排泄されることがありません。そのため、日常の摂取量なら問題ないのですが、大量摂取による蓄積が起こると過剰症を起こす危険性があり、注意が必要です。

急激に過剰摂取した時と、長期間の蓄積によって過剰になった場合では現れる症状が異なります。

成人の場合、短期間の過剰摂取では吐き気や頭痛、めまい、目のかすみなどが現れます。長期間の摂取による場合は、中枢神経系への影響、肝臓の異常、骨や皮膚の変化が起こります。子供が過剰摂取した場合には、頭蓋内や骨格に異常が現れることがあります。また、妊娠期での過剰摂取は胎児への悪影響が報告されていることから、摂り過ぎにならないように気をつける必要があります。ビタミン剤やサプリメントを使用するときは用量を守りましょう。

年齢        安全な上限値

生後12カ月      2,000 IU

小児 1-3歳      2,000 IU

小児 4-8歳      3,000 IU

小児 9-13歳   5,667 IU

10歳代 14-18歳   9,333 IU

成人 19歳以上   10,000 IU

ビタミンA(レチノール活性当量)

ビタミンA(レチノール活性当量)とは

ビタミンAは、油脂に溶ける脂溶性ビタミンのひとつで、レチノール活性当量(μgRAE)として表されます。これは動物性食品に含まれるレチノールの量と、主に植物性食品から摂取されるβ(ベータ)-カロテンなどのカロテノイドが体内でビタミンA作用をする場合の換算量との合計です。ビタミンA(レチノール活性当量)は

次の式で算出します。

レチノール活性当量(μgRAE)=レチノール(μg)+1/12×β-カロテン(μg)+1/24×α-カロテン(μg)+1/24×β-クリプトキサンチン(μg)+1/24×その他のプロビタミンAカロテノイド(μg)

なお、少し前までビタミンAはビタミンA効力(単位はIU:アイユー)で表されていましたが、ビタミンA作用をする量であるレチノール活性当量(μgRAE)で表されるようになりました。「ビタミンA効力 1IU=レチノール活性当量0.3μgRAE」に相当します。

どんな働きをする

ビタミンAは、発育を促進したり、肌の健康を維持したり、暗いところでも目が慣れて見えるようになる機能(視覚の暗順応)に関わったり、さらにのどや鼻などの粘膜に働いて細菌から体を守ったりなど、たくさんの重要な役割を持っています。

どんな食品に多く含まれている

にんじん、チーズ ビタミンAとして働く成分を多く含む食品は、レバー、うなぎ、バター、マーガリン、チーズ、卵、緑黄色野菜などです。また、国民健康・栄養調査結果からみると、私たち日本人は緑黄色野菜からとるビタミンAが最も多く、4割余りを占めています。私たち日本人にとって緑黄色野菜はビタミンAの供給源としてとても重要なのです。

どれくらいとったらいい

ビタミンAが不足すると、暗いところで目が見えなくなる“とり目”と呼ばれる欠乏症がおこることが知られています。現在の日本ではほとんどみられませんが、栄養状態がよくない発展途上国において、子どもたちが失明する重大な原因になっています。その他の不足の症状では、皮膚および粘膜の乾燥や角質化などが生じるため、細菌やウイルスに対する抵抗力が弱まって感染症にかかりやすくなります。

一方、とり過ぎによる過剰症では、肝臓に貯蔵されて肝障害などの副作用をおこすおそれがあります。普通の食事からはとり過ぎる心配はありませんが、サプリメントやビタミン剤を摂取する場合は使用法をきちんと守りましょう。特に、妊娠期または妊娠を希望する女性での過剰摂取は胎児への悪影響が報告されていることから、とり過ぎにならないように気をつけてください。

ビタミンD

ビタミンDもビタミンAと同じく脂溶性ビタミンのひとつです。食べ物から摂るほかに、私たちの皮膚が紫外線を浴びることで体内で作り出すことのできるビタミンです。皮膚が紫外線を浴びると、皮膚に存在するコレステロールの一種を材料にビタミンDの前駆物質であるプロビタミンDが合成され、これらが活性化されてビタミンDとなります。

ビタミンDの主な働きは、腸管や腎臓でカルシウムとリンの吸収を促進し、骨の形成と成長を促すことです。そのため、ビタミンDが不足するとカルシウム吸収が不十分となり、骨が軟化し、細くなり、脆くなるおそれがあります。小児の場合は「くる病」、成人の場合は「骨軟化症」や「骨粗しょう症」がこれにあたります。また、ビタミンDが不足すると、カルシウムの吸収がうまくいかなくなり精神的にイライラしやすくなります。

1年中日焼け止めをしっかり塗っているなど、紫外線を極度に避けている人は体内での合成が不十分となり、不足することがあります。夏なら木陰で30分、冬なら手や顔に1時間程度日光を浴びるだけでも、ビタミンDの合成には十分役立ちます。ただし、黒く日焼けするほどの日光浴は逆にビタミンDの合成能力を低下させるだけでなく、紫外線による害もあるため注意が必要です。

ビタミンD摂取時の注意

ビタミンDもビタミンAと同様に尿に溶けて排泄されることがありませんので、大量摂取による蓄積が起こると過剰症を起こす危険性があり、注意が必要です。ビタミンDの大量摂取を続けると、血液中のカルシウム濃度が上昇する高カルシウム血症となり、初期症状としては全身倦怠感や食欲不振、嘔吐が現れ、その後脱水症状、排尿の増加、高血圧などの症状が起こります。

また、血管の内側や内臓、筋肉にカルシウムが沈着して動脈硬化や腎不全などのリスクも高まります。通常の食事でビタミンDを摂る分には心配ありませんが、ビタミン剤やサプリメントによる摂りすぎには注意が必要です。

カルシウムとビタミンD

カルシウムは骨や歯などをつくっている栄養素です。体重の1~2%の重さで体内に存在しており、99%は骨と歯に蓄えられています。残りの1%は血液中や筋肉などの組織にあり、この1%のカルシウムが出血を止めたり、神経の働きや筋肉運動など、生命の維持や活動に重要な役割をしています。摂取されたカルシウムは小腸から吸収されて血液中に入り、すぐ使う分だけ残して残りは骨に蓄えられます。この時、小腸からのカルシウムの吸収を助ける働きがあるのがビタミンDです。さらに吸収したカルシウムの骨への沈着を助ける働きもあります。つまり、丈夫な骨づくりにはカルシウムとビタミンDを一緒に摂ることが大切です。

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