嚥下(えんげ)しやすい食品・しにくい食品

嚥下(えんげ)しやすい食品・しにくい食品

誤嚥を予防する

『誤嚥(ごえん)』を予防するためには、その方の噛む力や飲み込む力に応じた食事のとり方が大切です。 むせやすくなった、食事に時間がかかるようになった、噛めない物が増えて食事を残すことが多くなったといった場合、食べる姿勢や食品の形態が本人に合っているかなど見直してみることが必要です。 食材の選び方や料理の仕方、食べ方などの工夫により、ある程度克服することは可能です。

誤嚥や飲み込みづらくなるといった嚥下障害を起こさないために、どのような食品に気をつけるとよいかについてお話しします。

下記のような特徴のあるものは飲み込みや誤嚥の原因となりやすいため、注意したい食品です。

嚥下しにくい食品(誤嚥しやすい食品)の特徴と対策例

口の中やのど・上あごにくっつきやすい、粘りが強い

焼き海苔、わかめ、もなかの皮、ウエハース、のり、薄切りのきゅうりなど生野菜、もち、練り製品、食パン、あんこ、生麩、だんご

●焼き海苔はのり佃煮に

●きゅうりは塩もみしてしんなりさせる

●レタスは短めのせん切りにしてマヨネーズや胡麻ドレッシングで和える

●トマトは皮をむいて種をとる

噛みきりにくい、硬い

たこ、いか、貝類、ごぼう、りんご、こんにゃく、きのこ類、れんこん、たけのこ

●いかは細かく隠し包丁を入れて小さい一口大に切るなど、その人にあった大きさにし、なるべく舌でつぶせる程度のやわらかさに煮るなど調理方法の工夫を

水分が少なくパサパサしている パン、カステラ、クッキー、マドレーヌ、いも類、高野豆腐、ゆで卵

●ゆで卵はマヨネーズと和える

●パンはパン粥にしたり牛乳やミルクティーにつけて食べる

●いもは牛乳、スープなど水分を含ませると食べやすい

つるっと入りやすいもの・さらっとした液体

ところてん、こんにゃく、寒天ゼリー、桃などの缶詰、刺身、水、お茶、ジュース、汁物

●すぐに咽頭に入るところてん等は使用を控える

●液体にはとろみをつけたりゼリー状にする

口の中に入るとバラバラになる

ひじき、ピーナッツ、かまぼこ、ちくわ、豆、ひき肉、練り製品ん、れんこん、きざんだ食事

●ひき肉なら卵や片栗粉、水などつなぎを入れてハンバーグにし、焼かずに蒸したり、スープに入れたり、あんかけにする

酸味が強いもの

酢の物、かんきつ類、オレンジジュース ●酸味が強いものは避け、酢の物はだし汁で酢を薄める

嚥下(えんげ)しやすい食品の特徴

1.やわらかく口の中でまとまりやすい

粘度が低いとむせやすいため、ある程度の粘度があると口の中でまとまります。

口の中でまとめるには

(1)細かく刻んだものや口の中でバラバラになるもの、サラサラの液体は、市販のとろみ剤や片栗粉で適度なとろみをつける。

(2)ミキサーやフードプロセッサーで潰したものは、ゼラチンや寒天などで固める。

(3)とろみやつなぎになる食材を使って、飲み込みをしやすくする。

とろみやつなぎになる食材

すりおろした長いも、すりおろしたレンコン、ゆでてつぶした里芋、納豆、おくら、つぶした絹豆腐、マヨネーズ、小麦粉、練りゴマ、ピーナッツバターなど

2.一口で口に入り、噛みやすい

小さめの方が思い通りに噛むことができ、前歯で噛みきる力が弱い方でも食べやすくなります。

3.性状が均質、かたさが均一

薬と水が一緒に飲み込みづらいことがあるように、液体と固体といった違う物性のものやかたさが異なるものは、飲み込みにくくなります。

『離水』に注意!

市販のゼリーのふたを開けたときに、少し水が出ることや、食べている途中に水気がでてくることはありませんか? これらを“離水”(固形分と水分が分離すること)といいます。離水が多いと気管に水が入る可能性が高く、むせたり誤嚥することがあるため注意が必要です。

嚥下しやすい食品

プリン、茶碗蒸し、牛乳ゼリー、ポタージュ、シチュー、アイスクリーム、ヨーグルト、とろろ汁、りんごコンポート、粥、くず湯、煮込みうどん、パン粥、つみれ、温泉卵など

水分補給にお茶ゼリー

水分を固めるゼラチンは、口腔内温度である18度で表面が溶ける特徴があります。表面が溶けることですべりがよくなり、咽頭へ送り込みやすくなります。内面は固形を保っていますが変形しやすく、もし咽頭にゼリーが残留したとしても体温で溶けてしまうので、誤嚥・窒息の危険性は小さくなります。

お茶ゼリー

緑茶は抗菌作用、腸内細菌叢の改善、排泄の改善をするといわれています。また、食物を嚥下した後にお茶ゼリーを嚥下することで、咽頭に残留しているものを除去することができます。

作り方

(1) お湯(60度位)で普通または少し濃い目にお茶を入れる(300mL)

(2)お茶に粉ゼラチン5gを入れて溶かす

(3) 湯飲み茶碗などに入れて冷やし固める 

(ゆらすと、ぷるぷるとゆれるくらいが目安です)

噛みにくい、飲み込みにくいなどの障害がある場合、食事の時間が苦痛だと感じる方もいらっしゃるかもしれません。食品の選び方や調理法なども大切ですが、見た目や香り、料理の温度、彩りに気を使うと、食欲増進とともに唾液分泌が促進されるため、口腔内を潤し食べた物を飲み込みやすい形にします。また粥やうどんなどのやわらかく食べやすいものばかり食べていると糖質に栄養が偏り低栄養や貧血、皮膚が弱くなるなどの症状がでてくることがあるため、肉魚などのたんぱく質や野菜も調理の工夫をしていろいろなものをとるようにしましょう。

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